
保育園勤務をしていると「最近の子はアレルギーが多い」
ということを聞きますが、なるほど!と思う記事を見つけたので要約してみました。
ロチェスター大学医療センター(URMC)の最新研究です。
この研究で、都市部の子どもがアレルギーを発症しやすい理由は、
免疫システムの初期発達における違いにあることが明らかになりました。
都市部と農村部の子どもの違いは?
ニューヨーク州フィンガーレイクス地域の農村部に住む
オールド・オーダー・メノナイト(OOM)の乳児と、
都市部の乳児の血液サンプルを比較。
その結果
都市部の乳児はアレルギー反応を引き起こす
「Th2細胞」と呼ばれる免疫細胞のレベルが高く、
一方で農村部の乳児は免疫システムのバランスを保つ
「制御性T細胞(Treg)」のレベルが高いことが判明しました。
なぜ違いが起きたのか?
研究チームは、
都市部の子どもがアレルギーを発症しやすい背景には、
以下のような環境要因があると指摘しています
- 微生物への曝露の違い
農村部では土壌や動物との接触が多く、
多様な微生物に触れる機会が豊富。
これにより、免疫システムが適切に訓練され、
アレルギー反応を抑制する能力が高まると考えられる。 - 都市部の生活環境
都市部では清潔な環境が整っている一方で、
微生物との接触が少なく、
免疫システムが過敏に反応しやすくなる可能性がありる。
この見ると「衛生仮説」とも関連してます。
過度に清潔な環境が免疫システムの適切な発達を妨げ、却ってアレルギーのリスクを高めてしまっている可能性があるという解釈ができます。

ただ、原因を特定するにはさらなる研究が必要と述べており、まだ仮説に近い段階の用です。
今後の研究と予防策の可能性
URMCの研究チームは、
都市部の子どもがアレルギーを発症しやすいメカニズムをさらに解明するため、
環境要因や腸内微生物叢(マイクロバイオーム)との関連性を調査しています。
将来的には、プロバイオティクスや微生物を活用した予防的な介入策の開発が期待されまるね!
✅ まとめ
- 都市部の子どもは、アレルギー反応を引き起こす免疫細胞(Th2細胞)のレベルが高い傾向がある
- 農村部の子どもは、免疫システムのバランスを保つ制御性T細胞(Treg)のレベルが高く、アレルギーのリスクが低い。
- 環境要因、特に微生物への曝露の違いが、免疫システムの発達に影響を与えている可能性がある。
おまけ
ちなみに、日本では都市部と農村部で
アレルギー児の有病率は違うのかを調べてみましたが、
あまりデータは出てきませんでした。
ただ、アレルギー性鼻炎に関する広島県のデータ(小児)がったので載せてみますね。
- 市街地(広島市):33.3%(56人/168人)
- 農村地(広島県山県郡加計町):26.2%(129人/492人)
- 漁村地(三重県鳥羽市答志島):16.0%(74人/463人)J-STAGE
この結果から、都市部の子どもたちの方が
アレルギー性鼻炎の有病率が高い傾向が示されています。